內容簡介
內容簡介 「与えて与えて与え尽くせ」、その後かごには何が残る? 本書はマーシャル諸島出身の若き詩人による詩集である。アメリカによる核実験や気候変動などの背景にある構造に切り込む槍のような詩、伝説の女神から祖母、母、そして詩人自身から娘へと続いていく連帯を描く詩、国連気候変動サミットで朗読した代表作「ねぇ、マタフェレ・ペイナム」ほか計28篇。欧米や日本による植民地化や占領、国民の一部が被曝したビキニ事件など、「大国」の行為に翻弄されてきた歴史をもつマーシャル諸島だが、その被害は世界から軽視されてきた。同じようなことは気候変動問題でも生じている。先進国による人為的な要因が大きいとされる温暖化の影響で、国土が水没の危機にあるにもかかわらず、住民の声は先進国に届きづらい。キジナーの言葉は人びとを代表し、科学者のレポートやSDGsを掲げる大企業のポートフォリオよりもずっとわかりやすく、切実さをもって私たちに事実を伝える。これは詩であり最後通牒でもあるのだ。巻末に詳細な解説を付す。 「与えて与えて与え尽くせ」その後かごには何が残る? 常に大国に翻弄されてきた歴史をもつマーシャル諸島の若き活動家が放つ詩集。
作者介紹
作者介紹 キャシー・ジェトニル=キジナー"詩人、アーティスト、環境活動家。1989年、マーシャル諸島共和国生まれ。幼少期に両親とともにハワイへ移住。ミルズ・カレッジでクリエィティブ・ライティングの学士号、ハワイ大学マノア校で太平洋諸島研究の修士号を取得。2014年の国連気候変動サミットで「ねぇ、マタフェレ・ペイナム」を朗読し、国際的評価を受けた。現在はマーシャル諸島を拠点に気候変動や核問題をテーマとした創作を行うと同時に、環境保全のNGOジョージクムを立ち上げ、若者の芸術活動や環境教育に携わる。同国の環境省の気候変動特使も務めており、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)をはじめとする国際会議やイベント等に招致されている。日本でも講演会やワークショップを行い、「よこはまトリエンナーレ」「山形国際映画祭」などで映像作品を発表した。パフォーマンスの多くはオンライン上で公開されており、本書が初の単独詩集。共編書にIndigenous Pacific Islander Eco-Literatures(University of Hawai'i Press, 2022)がある。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。"一谷智子(いちたに・ともこ)西南学院大学外国語学部外国語学科教授。専門は環境文学、核文学、オーストラリア文学。著書に『語られぬ他者の声を聴く――イギリス小説にみる〈平和〉を探し求める言葉たち』(共著、開文社出版、2021年)『トランスパシフィック・エコクリティシズム――物語る海、響き合う言葉』(共編著、彩流社、2019)『架空の国に起きる不思議な戦争――戦場の傷とともに生きる兵士たち』(共著、開文社出版、2017)『エコクリティシズムの波を超えて――人新世の地球を生きる』(共著、音羽書房鶴見書店、2017年)、訳書にケイト・グレンヴィル『闇の河』(現代企画室、2015年)など。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。